3 弁護士が受任した後の流れ
交通事故に関する解決方法には大きく分けて、
(1) 示談による解決
(2) 訴訟による解決
があります。
(1) 示談による解決
弁護士が事件を受任したからといって、ただちに訴訟に踏み切らなくてはならないということではありません。保険会社の提示額、訴訟にかかる日数等を考慮して、被害の実態から相応と判断される場合には、示談による早期解決をお勧めする場合もございます。示談による解決の場合であっても、弁護士が被害者の方々を代理し、損害額等を精査することにより、最終的な合意額が当初の保険会社提示額よりも数百万円単位で、上乗せされることもあります。
(2) 訴訟による解決
残念ながら、被害の実態に見合った賠償額を、保険会社からご提示頂けない場合、弁護士としては、やむなく訴訟をお勧めすることになります。一般に保険会社としては、高次脳機能障害、CRPS(複合性局所疼痛症候群)等、事故と被害との因果関係の立証が困難な分野について、訴訟外にては十分な賠償額を提示して頂けない場合が多いようです。
特に、長期間、病院に入通院しているのにもかかわらず、原因がはっきりせず、いっこうに症状が改善されない場合、なるべく早い段階で、一度弁護士に相談されることをお勧めします。訴訟において、高度に医学的な所見が必要なこれらの分野では、早期に専門医と弁護士が協力して、精密検査や被害の精緻な記録化等、訴訟対策を進めることが重要です。
また、事故と被害との因果関係に争いがない場合でも、死亡事故等で賠償額が高額になる場合には、保険会社の用意する賠償額の内部基準と、裁判所で採用される基準との差額が著しく異なることも少なくありません。
なお、交通事故のような不法行為においては、判決まで至った場合、実損額とは別に弁護士費用も損害額として認定されることが多いです。