弁護士法人みやざきは、それぞれ得意分野を持った弁護士が連携して紛争解決にあたる法律事務所です。

宮崎の弁護士になるまで…(2)

2015年01月11日

 川添です。

 年明け最初のブログ担当になります。今年もよろしくお願いいたします。

 今回も、前回に引き続いて、私が宮崎で弁護士になるまでを振り返りたいと思います。

 

  宮崎の弁護士になるまで…(1)

 

 修習生になって最初の4月、いよいよ前期修習が始まります。今では制度が変わってしまいましたが、当時の修習生は国家公務員に準じる立場で国から給料をもらいながら研修を受けることができ、非常に恵まれた環境にありました。大学を卒業して4年、その間短期のアルバイトをしたことはありましたが、ようやく給料をもらえる身になって安堵したことを覚えています。

 司法試験に合格するまでは法律について勉強してきましたが、(弁護士としての)訴状の書き方、(裁判官としての)判決の書き方、その他実務的なことはほとんど知りません。裁判手続の中でそれまで学んできた条文がどのように生かされているのか、新参修習生に対して法律実務家としてのイロハを教え込まれます。

 前期修習というのは、修習生にとってそれまでの受験生生活から解放された直後でもあり、前期修習中の成績も採用に直結してくる裁判官・検察官志望者を除けば、かなり気楽な雰囲気でした。10年少し前は新人弁護士の就職難なんてことはありませんでしたので、修習後に弁護士になろうとしている人たちにとっては、修習期間中は就職先さえ見つけられれば良いという感じです。とはいえ、私は一応裁判官志望を公言していたこともあり、前期修習中はそこそこ真面目に過ごしました。“即日起案”といって、実際の裁判の記録をもとに研修用の教材として作成された冊子を見て、1日かけて判決や準備書面などを作成するテストのようなものが何度もありました。完成したらいつ帰宅してもいいというシステムでしたが、少しでもいいものを完成させようと、毎回毎回時間ぎりぎりまで格闘していました。

 

 そのような前期修習を終え、いよいよ宮崎での1年間の実務修習です。両親の帰省で日南には10回くらい遊びにきたことがありますが、宮崎の市内での生活は初めてのことでした。この年宮崎に配属された修習生は6名、全員独身男性でした。宮崎では、最初の3か月を検察庁、次の6か月を裁判所で、最後の3か月を法律事務所で過ごすことになります。

 

 検察修習では、本当にいきなり被疑者の取調べから始まりました。各修習生にそれほど大きくない刑事事件が2~3件割り振られ、各事件を起訴するかしないかの決裁を受けるところまでかなり自由に事件処理が任されました。検察修習が始まって3日目くらいには被疑者の取調べを実際に行ったように覚えています。弁護士になった今となっては、本物の犯罪者を取り調べるなんて今後絶対にありえないことです。弁護士になる者にとって刑事事件の取調べは将来の自分の仕事に直接結びつくトレーニングではないかもしれませんが、検察官の仕事のことを知っておくことで、今後刑事事件で弁護人として活動するときに役立つことがあるかもしれません。そういう趣旨から、弁護士・裁判官・検察官のどの道に進むかにかかわらず、修習生は全員同じ研修を受けることになっています。

 検察修習中は、自分の担当事件を処理するだけでなく、指導担当の検察官の手持ち事件の記録を見せてもらったり、取調べや公判(刑事裁判)を傍聴させてもらったりもします。宮崎のように小さい検察庁だと、指導担当の検察官に限らず、全員の検察官が親切にあれこれ見せてくれたりしました。裁判員裁判のあり方を巡って、現在裁判員に証拠をすべて見てもらう必要があるのか、特に被害者の死体の写真などショッキングなものについてどこまで見てもらう必要があるのか議論になったりしています。研修中にたくさんの死体の写真を見させてもらった修習生は、いいことか悪いことなのかは抜きにして、すっかりそういう写真にも慣れてしまいます。その延長とも言うべきか、死体解剖に修習生が立ち会うことも一般的です。私の場合は、見学に行くはずだった死体解剖の時間に、割り振られていた担当事件の参考人取調べをたまたま入れざるをえなくなり(確か参考人の都合でその日時しか取調べができなかったんだと思います)、残念ながら(?)見学することができませんでした。

 検察修習中では、ほかに警察の捜査を勉強するために、パトカーに乗ってパトロールに同行したこともありましたし、ウソ発見器を使った実験をしてもらったこともありました。ウソ発見器なんて半信半疑でしたが、絶対に自分のウソは見破られないと思っていた私が実験台にされたところ…質問にすべて「はい」だったか「いいえ」のどちらかで答える実験だったと思いますが、私のウソはすべて見抜かれてしまったことを覚えています。


 このように、初めて見るもの・聞くものも多く、比較的楽しかった検察修習を受けた私は、何が何でも裁判官になりたいとまでは思っていなかったのでしょう、裁判官でなくて検察官になってもいいんじゃないかと思うようになっていました。このころは野球ができれば検察官になれるなんて言われていた時代でもありました。野球経験者の自分にはぴったりじゃないかとも思いました。弁護士という選択肢はこのころまったく眼中にありませんでした。


 というわけで今回はここまでで終わり、次回の最終回で突然弁護士へ方向転換したところに触れたいと思います。

 

  宮崎の弁護士になるまで…(3)

 


 

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