川添です。
刑事事件での裁判員裁判がスタートしてすでに5年経ちました(この間、私も2年ほど前に裁判員裁判の弁護人を1件経験しました)。
民事事件の依頼者から自分の事件も裁判員裁判になるのかと聞かれることも何度となくあるので、まだ裁判員裁判がどういうものであるのか世間一般に認知されるまでは至っていないようです。
そんなこともあり、今回のコラムでは裁判員裁判ゲームを紹介したいと思います。
大阪弁護士会の法教育委員会が制作した「ゲームで裁判員!スイートホーム炎上事件」というタイトルのゲームで、大阪弁護士会のホームページから無料でダウンロードができます。
2年ほど前から公開されていて、公開直後くらいに試しに何度かプレイしてみました。
シナリオはなかなか良くできていて、弁護士会が作成しているだけあって、テレビドラマによくありがちな弁護士目線からは「こんなのありえない」というようなのはほとんどありません。
そんなわけで、純粋にゲームとしても、裁判員がどんなことをすることになるのか知るためにも、楽しめる仕上がりになっているのでお勧めです。
実際にゲームをしてみた感想としては…
プレイヤーが裁判に出てきた主張や証拠について積極的に意見をしていくことで、ゲームの結論が有罪にも無罪にもどちらにもなりえます。
有罪につながりそうな事情、無罪につながりそうな事情がたくさんある中で、プレイヤーが何を重視するかで結論が変わる可能性があります。
この辺りはゲームとして楽しめるところです。
もっとも、実際の刑事裁判でこんなに結論がコロコロ変わることはあってはならないことですが(「絶対にこの人が犯人で間違いない」と言えない限りは無罪とすべきであって、この証拠を重視したから有罪になりました、こっちの証拠を重視したから無罪になりましたなどと結論が変わることはありえないはずです)、この辺は何度もプレイしたからわかることであって、ゲームとしておかしいわけではありません。
法律家の視点からすると結論とはまったく無関係と思える選択肢も用意されていて、法律の素人である妻がプレイしたときにその選択肢を選んでいたりするなど、なかなかおもしろい作りになっていると思います。
ちなみに、私がプレイしたのは全部で4回くらい(今回このコラムを書くにあたってまた初めからやってみました)、1回有罪判決になった以外は残りは無罪判決でした。