6月です。
6月の英語名「June」はローマ神話の女性の結婚を司る女神・ユノ(Juno)が由来だそうです。
さて,ユノは結婚の前段階,婚約は守護してくれているのでしょうか。
婚約とは,男女間での「将来結婚しよう」という合意です。
婚約の合意は,例えば勢いで「結婚しよう」「そうだね」と言い合っても成立しません。
昭和初期の最高裁の判例で「誠心誠意をもって」なされる必要がある,と判断されています。
その誠心誠意をもって将来結婚する合意がなされれば,結納をする必要もありませんし,婚約指輪を交換する必要もありません(既婚者との婚約は一方の離婚を前提にしているため無効です)。
ただ,婚約したことの証拠として,婚約指輪の内側に名前と婚約の日付を入れておいてもいいかもしれません。
そんな誠心誠意をもってした婚約の合意ですが,人の気持ちは移ろいやすく,あるいは冷静になって,一方が「やっぱり結婚したくない」と言い出す可能性は十分あります。
もう一方としては当然「え?約束したよね?真剣に約束したんだから守ってよ!」と言いたい気持ちになります。
しかし,結婚すること自体を強制することはできません。
これは,一方が嫌がっている状態で結婚しても,円満な家庭をつくり,発展させていくことができないからではないかと思います。
そうはいっても,正当な理由のない婚約破棄の場合には,結婚を前提として費用を支出していたり,婚約の破棄により精神的に損害を受けたりしていれば,婚約を破棄された人は破棄した人に損害賠償を請求できます。
考えられる費用としては,式場・衣装・新婚旅行のキャンセル等です。結婚のため職場を退職した場合にも減収分が損害とされるケースもあるようです。
精神的損害の部分はいわゆる慰謝料と呼ばれるものですが,これはケース・バイ・ケースの判断になります。婚約破棄に至った原因,結婚がどの程度具体化していたか,性交渉があったか,妊娠・中絶の事情があったか等が考慮されて額が決まります。
ユノが婚約を守ってくれているかは分かりませんが,上記のようなトラブルを回避して結婚に至ったご夫婦の皆さんの今後が,山があったり谷があったり嵐がきたりしても,しあわせなものであることを願います。