弁護士法人みやざきは、それぞれ得意分野を持った弁護士が連携して紛争解決にあたる法律事務所です。

この裁判は,どこの裁判所に?

2014年04月28日

谷田です。今回は,「裁判の管轄」についてお話ししたいと思います。
一部の事件(特許の審決取消訴訟とか,選挙無効訴訟とか)を除いて,一般の訴訟では,まず各地の簡易裁判所・地方裁判所・家庭裁判所で訴訟を提起することになります。
このうち,家事事件(離婚とか遺産分割とか)は家庭裁判所で,「お金を返してほしい」「建物から出て行ってほしい」といった一般の民事事件は簡易裁判所・地方裁判所で取り扱うことになります。(一般民事事件のうち,紛争額が140万円以下だと簡易裁判所,140万円を超えるものだと地方裁判所の取扱いになります。)

とまあ,ここまではどうってことないのですが・・・曲者なのは,ここから先の「土地管轄」という振り分けです。
日本には50(各地の都道府県に1つずつ,但し北海道は4つ)の地方裁判所と438の簡易裁判所があります。このうち,どこの地方の裁判所で裁判を起こせるか,というのが「土地管轄」という問題です。
当然ながら,どうせ裁判をやるのであれば,地元の裁判所の方がいいに決まっています。宮崎県にお住まいの方が,宮崎の弁護士に依頼して東京地裁で裁判を起こすとなると,弁護士が裁判に出席するだけで飛行機代がかかってしまいます。もちろん,東京の弁護士に知り合いがいれば,そちらに頼むのもありかも知れませんが,今度は弁護士との打ち合わせのために依頼者様が東京に行かなくてはならなくなったりして,どっちにしても交通費がかさんでしまいます。
(裁判に勝てば,裁判の出廷に使った飛行機代を相手に請求できるということにはなっているのですが,そもそも勝訴の確率とか,相手の財産状況まで考えるとあまり確実なものではありません。)

というわけで,特に事件をお受けする弁護士が最初にまず気にするのが「この事件をお受けして裁判を起こす場合,裁判所はどこになるんだろう?」ということなのです。
この土地管轄は,いろいろな特則もあってややこしいのですが,基本的に「お金の請求が含まれていれば,請求する人の地元裁判所で裁判を起こせる」と考えてよいでしょう。
たまに,とても強引な理屈で請求の中に慰謝料請求を絡めている訴訟を見かけることがありますが,これはそういった事情によります。(別に慰謝料を払って欲しいわけではなく,地元の裁判所に土地管轄を引っ張って来たいというだけのこと。)

以上のような感じで,弁護士が工夫することで土地管轄はある程度コントロールできるのですが,そうもいかないケースがあります。それが,「合意管轄」というものです。
契約書の最後の方に「本件に関する第一審の裁判管轄は???裁判所とする」というような言葉が入っているのを見たことはないでしょうか。あれが「管轄裁判所の合意」です。条項の文言次第ですが,こういった合意があるせいで,場合によっては地元以外の特定の裁判所でないと裁判を起こせない,ということもあります。
契約書の条項というのは,簡単にいじらせてもらえないことの方が多いと思いますが,契約内容に口出しをできるような場面(要するに,相手と対等な立場で契約を締結するような場合)に出くわしたら,この「管轄裁判所の定め」については不利にならないよう,言うべきことは言いたいところです。

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