弁護士法人みやざきは、それぞれ得意分野を持った弁護士が連携して紛争解決にあたる法律事務所です。

ありふれた刑事事件

2013年11月21日

加藤です。

 今日は刑事事件についてお話します。

私は裁判員裁判になるような凶悪な刑事事件をやらないので、私の担当する刑事事件は、ほとんどが窃盗とか、その場での自身の利欲のためにしたものがほとんどです。そのような日常的にありふれた犯罪の弁護をしていて思うのは、繰り返し犯罪を行う被疑者、被告人というのは、かなりの確率で、少年時代の家庭環境があまり良くないということです。

 私がこれまでに受けた事件で,被告人の方は、自分の父親が誰かも分からない、母親には幼くして生き別れた、自分には兄弟がいるかどうかも分からない、中学生ぐらいまで祖父母に育てられたものの、祖母が亡くなると間もなくして、施設に突然、預かられたという境遇でした。警察の調書には、まず身上経歴を纏める乙第1号証というのがあるのですが、よほど警察の方も同情されたのか、その方の不遇な少年時代の経歴を詳細に記入されていました。

 勿論、だからと言って犯罪を犯すことが正当化される訳ではありませんし、不遇な少年時代でも社会的に立派な立場に就かれている人は大勢いると思います。

 しかし、この仕事をしていると、少年時代に両親から十分な愛情を受けられなかったことがきっかけとなり、自暴自棄となり非行に走り、少年院に行き、成人した後も刑務所と外を行ったり来たりするという方は、あまりにも多いように感じます。

 他方で、彼らを裁く立場にある裁判官というのは、多くの場合、若くして司法試験に合格し、司法研修所を優秀な成績で卒業し、憲法上、その身分が保障がされているリストラとは無縁な立場の方々です。

 そういった彼らに対して、不遇な生い立ちであることを、どんなに強調しても、残念ながら彼らの胸には響くことが少ないようです。目に見える形で情状として斟酌してもらったことがありません。


 裁判員裁判は、現在、殺人等の凶悪犯罪にその対象事件が限られています。しかし、私は、むしろ、裁判員自身が、その後PTSD

になるような、凶悪犯罪よりも、このような窃盗とか、ありふれた刑事事件の方が、本来向いているような気がします。彼らの更正のためには、同じような立場を背負った苦労人に、その経験を踏まえて諭された方が、心に響くものがあるのではないでしょうか。

 先ほどの方は、「一度母親に会ってみたい、そうすれば自分が変われるような気がする」とおっしゃっていました。どうか彼が変わるきっかけを、母親ではなく、この国の社会全体が提供できることを願っています。











 




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