谷田です。今回のコラムでは,「弁護士は,登録場所をどうやって決めるのか?」ということについてお話ししたいと思います。
当弁護士法人のHPのうち,「弁護士紹介」のコーナーをご覧いただければ分かりますように,私は兵庫県出身です。
小学校までは地元伊丹市で,中学・高校は大阪府の中高一貫校,大学は京都と,関西圏をぐるぐると回っておりました。司法試験に合格するまでの間,九州の地を踏んだのは旅行(北九州市のスペースワールドと佐世保市のハウステンボスを回るというツアーだったかと思います)の3日間程だけと,九州には本当に縁のないまま過ごしてきました。
そんな私ですので,よく依頼者の方達に「どうして宮崎県で弁護士をしているんですか?」と聞かれます。
これは,司法修習の制度によるところが大きいので,まずはその辺の制度のご説明からしようかなと思います。
今はだいぶ司法修習のシステム自体が変わってしまったのですが,私が司法修習を受けたころは,①前期修習(2か月),②実務修習(1年),③後期修習(2か月)に分かれていました。
①と③は埼玉県和光市にある司法研修所で,20クラスに分けられて「学校」のような教育を受けます。②は各地の地方裁判所に配属された上で,裁判所・検察庁・弁護士会で実務家の傍について,法律実務を学ぶことになります。
この「各地の地方裁判所」というのが曲者でして,司法試験に受かるなり,実務修習の希望配属庁を6つ書かせられるのですが,予想もしない地方裁判所に配属されることが多いです。正直に言いますと,私は6つの希望地に宮崎を書いたかどうかすらもよく覚えていなかったり・・・。(南国を複数書いたところまでは覚えているのですが)
とまあ,選考過程は良くわからないまま,私の実務修習地は宮崎となりました。多分,「こいつは暖かいところが好きなんだろう」という理由で決められてしまったものと思われます。
そんなこんなで,平成18年6月,実務修習を受けるために宮崎入りしました。実務修習に入る前は,「修習が終わったら,関西圏に戻って弁護士登録をしよう。大阪あたりかな。」みたいな感じで,宮崎に根を下ろすことは正直考えていませんでしたが,実務修習で実際に宮崎に住んでみると,とても暮らしやすいところということが分かり,そのまま弁護士登録をした次第です。人は親切,食べ物は美味しい,気候が温暖etc...。
同じように考えた同期の仲間は結構たくさんいたようで,20人いた宮崎の修習生のうち,実に7人が宮崎で弁護士登録をするようになりました。
前置きが長くなりましたが,私のように「実務修習地が気に入って,そのまま弁護士として残る」人は結構多いんじゃないかなと思います。第二の故郷みたいなものですし。
他方で,弁護士登録は,実務修習地とは関係なく自分の出身地付近でやるという人も多いかと思います。
また,研修所クラスの同期では,出身地でも実務修習地でもない全く初見の土地で弁護士登録をした猛者もおりました。
実は,弁護士業務の中で,「東京で登録しないと,この分野の仕事は扱えない」というような縛りは意外と少ないのです。地方にいても,結構いろんな事件に触れる機会があります。そう考えると,結局多くの弁護士は,取扱い事件云々ではなく,自分の好きな土地で登録しているのかなと思いました。
皆さんもご存じのとおり,今は弁護士が供給過多になったせいか,純粋に好きな土地で弁護士登録ができない人もちらほら出てきているようです。(どうしても「就職したい土地」ではなく「就職できる土地」に目が行ってしまう。)
気に入った宮崎で弁護士業務をできることに感謝しつつ,今後も自己研鑽に励んでいきたいと思います。