川添です。
先日、宮崎青年会議所のセミナーで「ある日突然取引先が夜逃げして慌てないために」と題して講演をさせていただく機会がありました。
もともとは取引先が夜逃げをしてしまったときにどう対応したら良いかというテーマが予定されていたのですが、そのテーマでは弁護士として話せることがあまりありません。
これまで約10年間弁護士をやってきていろんな相談を聞いてきましたが、取引先が夜逃げした、お金を貸していた知り合いが夜逃げしたというケースは何度もありましたが、誰も財産を残していく人はいませんでした。
ある意味当たり前のことで、夜逃げをする人たちはその直前まではぎりぎり何とかやり繰りを続けています。
自宅があってもとっくの昔に担保に入れてお金を借りています。
新たにお金が入ってくればすぐに次の支払いに回っていきます。
債権者からはひっきりなしに「払え」「返せ」と催促されています。
次の入金があればどこにどれだけ払おうかと悩んでいます。
それでもどうにもならなくなって行き詰まったとき、最後の選択肢が夜逃げとなるのが普通の流れです。
この段階で弁護士のところに「取引先に夜逃げされました!」と相談に来られても、現実的な債権回収はかなり難しくなります。
裁判を起こせば勝訴判決はもらえるでしょうが、「100万円支払え」との判決をもらったところで、現実に強制執行をする財産が何も残っていないのです。
こうなってしまっては、弁護士としては相談者のために力になることができません。
そんなわけで、「取引先が夜逃げしたときにどうしたらいいですか?」というテーマでは弁護士らしい講演ができないわけです。
そんな事態になっても後から困らないようにどうしておくべきだったのか、そういう視点から講演させていただきました。
何か法律問題が生ずればわれわれ弁護士のところに相談に来ていただきたいと思いますが、すでに手遅れとなっているケースも割とたくさんあります。
特に事業をされている方であれば、契約関係で揉めたり、債権回収に力を入れないといけない場面が常に迫っていると言えます。
契約締結の段階で本当にこの内容の契約で良いのか、トラブルが発生する前から弁護士に相談することもありだということを知っておいてもらえればと思います。